揺れる自分にも優しくなれるとき|「そのままでいい」と感じる小さな変化
猫が膝にのってくると、
静かに胸の奥が動きます。
ただそこにいるだけで、
愛おしさと、かすかな痛みが同時に生まれるような——
そんな時間があります。
重さとあたたかさがじんわりと身体に伝わってきて、
自然と、やさしい笑みが浮かんできます。
ただそこにいてくれるだけでいい。
その存在が、そのまま愛おしい。
その愛おしさに浸っていると、
いつも、すぐ隣に小さな心の痛みが顔を出します。
人に対しては、
同じようにまっすぐには抱けない思いがあることに気づくからです。
「猫には、こんなに無条件に優しくできるのにね」と、
ふと感じて、
膝の上の猫への愛しさも、胸の奥の痛みも、
しばらくそのまま抱えてみます。
愛おしさだけを感じられたらいいのに。
でも、私には私の揺れがあって、
その揺れごと生きているのだと。
最近は、そんな自分も
なんだか人間らしいな、それでいいんだなと
静かに思えるようになってきました。
膝の上で眠る猫の重さを感じながら、
「そのままでいいよ」と
そっと自分に向けて言える瞬間が、少しずつ増えている気がします。
自分には向けにくい優しさがある
私たちは時々、大切な誰かや、
動物や子どもには自然に向けられる優しさを、
自分自身には向けられないことがあります。
失敗したとき。
うまくできなかったとき。
人との関係で傷ついたとき。
そんな時ほど、
自分には厳しくなってしまうことがあります。
本来ならそんな時にこそ、
優しくいたわる気持ちが必要なはずなのに。
回復するとは、
揺れなくなる自分を目指すことではなく、
揺れている自分にも、
少しずつ優しさを向けられるようになることなのかもしれません。
「まだ痛い部分がある」
「うまくできない自分もいる」
そのことを否定せず、抱えたまま、
それでも「このままでも大丈夫かもしれない」と思える瞬間。
その小さな変化が、
安心感や回復につながっていくことがあります。
カウンセリングの中でも、
私は、こうした揺れや、言葉になる前の微細な感覚を、
急いで変えようとするのではなく、
まずは一緒に気づいて見つめることを大切にしています。
もし、
自分には厳しくなってしまう。
人には優しくできるのに、
自分を責めてしまう。
そんな感覚があるなら、
そこには、
これまで懸命に生きてきた理由があるのかもしれません。
その揺れごと、
まずは気づいていくところから、一緒に始めていけたらと思っています。
この記事を書いた人
町田美佳|臨床心理士・公認心理師|マチダ心理臨床オフィス(市ヶ谷・麹町・四ツ谷)
愛着や人間関係、生きづらさ、支援職の悩みなどについて、感情や身体感覚を大切にした心理カウンセリングを対面とオンラインで行っています。