カウンセラーは贈り物をもらっても良い?|感謝と境界について考えてみた
前回の記事では、
「カウンセラーはどこまで自分を出していいのだろう?」
というテーマで、自己開示について考えてみました。
その記事を書きながら、昔から少し気になっていたことを思い出しました。
私は若い頃、クライエントの方から手紙や贈り物をいただくことが少なくありませんでした。
もちろん高価なものではありません。
お菓子だったり、旅行のお土産だったり、終了した後のお手紙だったり。
ところが、ある時同僚からこんなことを言われたのです。
「どうしてそんなにもらうんだろうね?」
その同僚は、とても誠実な人でした。
意地悪で言ったわけではありません。
もちろん善意からの助言でした。
「どうしてそんなにもらうんだろうね」
「一度考えてみてもいいかもしれないね」
というようなことを言われたのです。
私は少し考え込みました。
確かに、他の心理職と比べても、私は物や手紙をいただくことが多いように思えました。
では、なぜなのだろう。
私は依存的な関係を作っていたのだろうか
当時の私は、その助言を全く否定的には受け取りませんでした。
むしろ、自分自身を振り返るきっかけをくれたと思いました。
もしかすると、
私が依存的な関係を作っているのだろうか。
お礼をしなければいけないような雰囲気を出しているのだろうか。
境界が曖昧なのだろうか。
心理職として気をつけなければいけないことなのかもしれない。
そんなふうに考えたこともありました。
それでも答えは出ませんでした
けれど、その後も私ははっきりした答えを持てないままでした。
たしかに同僚の言う通りだったのかもしれません。
私が知らないうちに依存的な関係を作っていた可能性もあります。
だからこそ、自分の関わり方を振り返り続けることは大切だと思っていました。
一方で、どこか腑に落ちない感覚も残っていました。
なぜなら、いただくのは物だけではなかったからです。
手紙をいただくこともありました。
そこには、感謝の言葉や近況報告が書かれていました。
それを読みながら私は、
カウンセリングは確かに特殊な関係ではあるけれど、
普通の人間関係の中で起こるような感謝を伝えることや、それを受け取ることまで、
そんなに避けなければならないことなのだろうか、と考えていました。
もちろん、境界を大切にすることは必要です。
けれど、
感謝を伝えたいと思うことや、
その気持ちを受け取ることまで否定する必要があるのだろうか。
私は長い間、その答えを持てないままでいたのです。
AEDP®️を学んでから思うこと
AEDP®️を学び始めてから、このことを時々思い出します。
当時の私は、
カウンセラーは無色であるべきだ、
少なくとも自分の色を自覚しているべきだ、
鏡のような存在であるべきだ、
そう教わり、そうであろうと努力していました。
ですから、昔から真正性を大切にしていた、というわけではありません。
むしろ未熟だった部分もたくさんあったと思います。
けれど今振り返ると、目の前のその人への応答が、
知らず知らずのうちに、
自分の内側から何か滲み出ていたものだったのかもしれません。
それはカウンセラーとしての未熟さだったのかもしれない。
あるいは、
真正性から生まれた応答でもあったのかもしれない。
もちろん、本当のところはわかりません。
ただ、AEDP®️を学んだ今は、
もしあれが真正性あるやりとりだったのだとしたら、
少し嬉しいなと思うのです。
そして、
このような関わり方の本質を考えてみることを教えてくれたのは、
クライエントの方々や同僚だったんだと思います。
(つづく)
※本記事で触れているAEDP®に関する内容は、私自身の学びと体験に基づく個人としての発信です。特定の団体や組織の立場を代弁するものではありません。
この記事を書いた人
町田美佳|臨床心理士・公認心理師|マチダ心理臨床オフィス(市ヶ谷・麹町・四ツ谷)
愛着や人間関係、生きづらさ、支援職の悩みなどについて、感情や身体感覚を大切にした心理カウンセリングを対面とオンラインで行っています。