カウンセラーは、どこまで自分を出していいのだろう?
前回の記事では、
AEDP®️の創始者ダイアナ・フォーシャの
「Neutrality is actually contraindicated.(中立性は、実は禁忌である)」
という言葉について書きました。
また、以前、私のカウンセリングに陪席した大学院生から、
「すごく emotional だった」
という感想をもらったことについても触れました。
では、
カウンセラーが自分を出して関わるとはどういうことなのでしょうか。
カウンセラーはどこまで自分を出してよいのでしょう?
この記事では、そんなことについて考えてみたいと思います。
「どこまで話していいのでしょうか?」
AEDP®️のトレーニングの中で、ある参加者が質問をしました。
「クライエントから個人的なことを聞かれた時、どこまで答えてよいのでしょうか」
心理職なら、一度は考えたことのあるテーマだと思います。
私も興味深く聞いていました。
するとダイアナは、こんなふうに答えたのです。
「『私がバケーションでどこへ行くのか、
あなたに話すことは全然構わない。
でも、それはあなたの不安を下げるのに役立つの?』って聞いてみるわ」、と。
私はこの言葉を聞いた瞬間のことを、今でも覚えています。
参加者全体の空気がぱっと変わったように感じました。
質問した人も、いっしょに聞いていた参加者たちも、ハッと何かに気づいたような雰囲気でした。
私自身もそうでした。
「どこまで話すか」ではなく、「何のために話すのか」
それまで私たちは、
「どこまで自己開示してよいのか」
という問いを考えていました。
けれどダイアナは、まったく別の角度から答えたのです。
問題は、
どこまで話すかではない。
その関わりが、
クライエントの方にとってどんな意味を持つのか。
それが役に立つものなのか。
そこが大切なのだ、と。
私はその時、自己開示についての考え方がとてもクリアになりました。
私が大切にしていること
私は、自分のことをたくさん話したいわけではありません。
また、自分の感情を前面に出したいわけでもありません。
私が大切にしたいのは、
相談に来てくださった方が、一人で苦しみを抱えなくて済むことです。
そして、その方の中にある生命力やその人らしさが現れた時、
それに心を動かされ、そのことをクライエントの方と分かち合うことです。
時には、
一緒に驚いたり、
ほっとしたり、
嬉しくなったりすることもあります。
苦しみも喜びも一人にしない。
そのために必要であれば、カウンセラーは必要なだけ自分を表現する。
私は、そんな関わりを大切にしたいと思っています。
(つづく)
※本記事で触れているAEDP®に関する内容は、私自身の学びと体験に基づく個人としての発信です。特定の団体や組織の立場を代弁するものではありません。
この記事を書いた人
町田美佳|臨床心理士・公認心理師|マチダ心理臨床オフィス(市ヶ谷・麹町・四ツ谷)
愛着や人間関係、生きづらさ、支援職の悩みなどについて、感情や身体感覚を大切にした心理カウンセリングを対面とオンラインで行っています。