仕事では頑張れるのに、休み方がわからないあなたへ|仕事モードが切れない理由
仕事モードが切れない理由
「もうすぐ連休ですね。」
そんな会話になると、少し胸がザワザワする。
周りの人は旅行や予定の話を楽しそうにしているのに、自分はどこか落ち着かない。
休みの日になると何をしたらいいかわからない。
何もしないでいると焦ってしまう。
せっかくの休日なのに、「ちゃんと休まなくては」とプレッシャーを感じてしまう。
「休みは嬉しいもの」のはずなのに、自分はどこか違うのかもしれない。
そんなふうに感じている方は、案外少なくありません。
実際にカウンセリングに来られる方にも、こんな方が多い印象があります。
仕事ではそれなりに評価されている
責任感が強いと言われる
頼まれると断れない
家に帰っても頭が休まらない
休日なのに「何かしなくては」と焦る
好きなことをしようとしても、何をしたいのかわからない
休んでいるのに休めた気がしない
人に相談するより、自分で何とかしようとする
こういう方は、とても真面目で、一生懸命な方が多いです。
周囲からは「仕事ができる人」「頼れる人」と思われていて、本人がこんなに頑張り続けていることにも、苦しんでいることにも気づかれていないことが少なくありません。
だからこそ、自分でも、
「きっと、みんなも同じようなもの」
「疲れたと感じている暇なんてない」
「まだ頑張れてるから、大丈夫」
と考えて、自分の本当の状態に気づかないことも多いのです。
もし、これらのことがいくつも当てはまるとしたら、それは意志が弱いからでも、休みかたが下手だからでも、要領が悪いからでもありません。
私はこういう方にお会いすると、
「ああ、『仕事モード』でずっと生きてこられたのかもしれないな」
と思うことがあります。
仕事モードとは?
ここでいう「仕事モード」とは、私が臨床を通して、多くの方に共通して見られる状態を表すために使っている言葉です。
感情よりも思考や理性を優先し、その場で求められていることに応えながら問題を解決していく状態です。
仕事では、とても役に立つ力です。
責任感がある
先回りして考えられる
人の期待に応えられる
冷静に判断できる
こうした力のおかげで、仕事では評価されることも多いでしょう。
でも、この仕事モードが四六時中続いていると、少しずつ苦しくなってきます。
仕事が終わっても頭が止まらない。
休みの日も気が抜けない。
何がしたいのかわからない。
これは、「仕事モード」があまりにも頑張り続けていて、それ以外のモードへ切り替えることが難しくなっている状態なのかもしれません。
本来、私たちは、物事に対処する「仕事モード」と、身体や気持ちを休める「リラックスモード」を、状況に応じて自然に行き来しています。
誤解しないでいただきたいのは、仕事モードは、あなたをここまで支えてきた大切な力だということです。
だから、なくす必要はありません。
必要なのは、仕事モードしか選べない状態から、安心できる場面では自然に力を抜ける状態へ戻っていくことです。
なぜ、仕事モードしか使えなくなってしまうの?
仕事モードは、社会人になってから身につけたものではないことがあります。
子どもの頃から、
親の顔色を見ていた。
期待に応えようとしてきた。
怒られないように空気を読んできた。
家族の中で「しっかりした子」でいようとしてきた。
そんな経験が積み重なると、安心して力を抜くよりも、「周りを見て動く」ことの方が自然になっていきます。
何を感じているかよりも、
今、何をすべきか。
相手は何を求めているか。
どう振る舞えばうまくいくか。
そんなふうに頭を働かせ続けることが、生きていくために必要だったのです。
私は、こういう状態を「仕事(対処)モード」と呼んでいます。
仕事モードは、頭だけの問題ではありません
仕事モードは、考え方の癖だけではありません。
身体もそのモードに慣れていることがあります。
緊張していても、それが普通になっている。
肩に力が入っていることにも気づかない。
呼吸が浅いことにも気づかない。
身体よりも先に頭が動く。
心理学や脳科学では、
このような状態は交感神経が優位になり続けている状態とも考えられます。
いつでも動けるように。
失敗しないように。
周りを見落とさないように。
身体がずっとスタンバイしているのです。
「安心すること」が怖くなることがあります
本来、人は安心すると、自然に力が抜けます。
ぼんやりしたり、
好きなことに夢中になったり、
「何もしない時間」を心地よく感じたりします。
でも、それを安心だと身体が学ぶ機会が少なかった人は、力を抜くこと自体に落ち着かなさを感じることがあります。
何もしないと焦る。
ぼーっとしていると罪悪感が湧く。
休んでいるのに、
「これでいいのかな。」
と不安になる。
だから、また仕事モードへ戻ってしまうのです。
「休みましょう」と言われても、休めない
だから私は、
「もっと休みましょう。」
という言葉だけでは、あまり変わらないと思っています。
休めないのは、休み方を知らないからではありません。
安心して力を抜けるという感覚を、身体がまだ十分に知らないだけなのかもしれません。
だから、休むことを頑張る必要もありません。
まずは、
今、自分の身体はどう感じているだろう。
少し肩に力が入っているかな。
息は浅いかな。
温かいところはあるかな。
そんな小さなことに気づくところから始まります。
カウンセリングでは何をするの?
カウンセリングでは、「もっと力を抜きましょう」とアドバイスすることはありません。
また、無理に感情を引き出すこともしません。
仕事モードが必要だった理由を大切にしながら、安心できる関係の中で、少しずつ身体や感情の声にいっしょに気づいていきます。
すると、頑張ろうとしていないのに自然に肩の力が抜けたり、
「今日は、ちがう道で帰ってみようかな。」
「このお店にちょっと寄って行こうかな。」
そんな小さな気持ちが戻ってくることがあります。
仕事モードを失うのではなく、仕事モードだけではない自分も使えるようになっていく。
私は、それが回復なのだと思っています。
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もしこの記事を読んで、「自分にも、こういうところがあるかもしれない」と感じた方へ。
「身体の声を聴いてみる」ということを、一人で頑張る必要はありません。
カウンセラーと一緒に、その小さな変化を見つけていくこともできます。
仕事モードは、あなたがここまで生きてくるために必要だった大切な力です。
だからこそ、その力に感謝しながら、安心できる場面では自然に力を抜ける選択肢も、一緒に育てていけたらと思っています。
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「仕事モード」が身についた背景には、子どもの頃の人間関係や家庭環境が影響していることもあります。
そのことについては、こちらの記事でも書いています。
👉 大人になっても親との関係が苦しいあなたへ|アダルトチルドレンが感情に蓋をする理由
この記事を書いた人
町田美佳|臨床心理士・公認心理師|マチダ心理臨床オフィス(四ツ谷・麹町・市ヶ谷)
愛着や人間関係、生きづらさ、支援職の悩みなどについて、感情や身体感覚を大切にした心理カウンセリングを対面とオンラインで行っています。