True Other(真の他者)とは何だろう|ダイアナ・フォーシャのインタビューから受け取ったこと


以前の記事で、「True Other(真の他者)」について書いたことがあります。

その時の私は、どこかで

「True Otherとは、こういうセラピストのこと」

というイメージを持っていたように思います。

安心させてくれる人。

受け止めてくれる人。

誠実に寄り添い続ける人。

そんな「あり方」のことなのだと考えていたのです。

でも最近、AEDP®️の創始者であるダイアナ・フォーシャのレインタビューを視聴する機会があり、私は思わず「そういうことだったのか・・・」と唸ってしまいました。

True Otherとは、セラピストといった人そのものを指す言葉ではありませんでした。

セラピーという関係の中でいえば、

クライエントが、ある瞬間にセラピストをTrue Otherとして体験すること。

その出来事を表す概念だったのです。

だから、セラピストが

「私はTrue Otherになりたい」

と思ってなれるものではありません。

もちろん、そのような存在でありたいと願い、目の前の人と誠実に向き合い続けることはできます。

でも、それは意図的に作り出せるものではなく、
クライエントの体験として自然に生まれるもの

そして後から振り返った時に、

「あの時、この人は私にとってTrue Otherだった」

と意味づけられるような、とても繊細で尊い体験なのだと知りました。

ダイアナの言葉で理解が変わった

さらに私の心を動かしたのは、ダイアナの次の言葉でした。

「クライエントがセラピストをTrue Otherとして体験するその瞬間は、とても価値のある瞬間です。再組織化が起こっています。二人の関係の中で、そしてその人自身の体験の中で、何か深いことが起きているのです。」
(原文:"..the moment when the patient is having an experience of the therapist as a true other is such a valuable ー A reorganization has happened. Something profound has happened in the dyad and in the experience of the individual.")

この言葉を聞いた時、胸が熱くなりました。

True Otherとは、

クライエントの変容のプロセスの中で、ごく自然に生まれる関係の瞬間とも呼べる体験のことなのだと、私は受け止めました。

しかも、それは長く続く特別な状態ではなく、本当に一瞬の出来事なのかもしれません。

傍から見れば、小さなやり取り。

たった一言の言葉。

ほんの一瞬の表情。

でも、その人の中では、それまでとは違う何かが静かにつながり、心の再組織化が起きる。

その体験は、その後もずっと心に残り続けることがある。

人は何によって変容するのだろう

そう考えた時、人という存在の不思議さに深く心を動かされました。
そして、セラピーという営みの尊さを改めて感じたのです。

私は今までずっと、「人は、何によって変容するのだろう」という問いに惹かれ続けてきました。

AEDP®️を学んでいるのも、その答えを知りたいからです。

今回、True Otherという概念への理解が深まったことで、
変容とは、セラピストが何か特別なことを「する」ことではなく、

二人の間で生まれる小さな瞬間の積み重ねの中から、ごく自然に育まれていくものなのかもしれない、と感じました。

もし、そんな瞬間に立ち会えることがあるのだとしたら。

もし、クライエントの方が、ある瞬間に、セラピストの私をTrue Otherとして体験してくださることがあるのだとしたら。

それはセラピストにとって何かを達成することではなく、

人と人との間に生まれる、とても静かで、でもかけがえのない出来事なのだと思います。

ダイアナがtrue otherについて語っていたのはインタビューの前半部分だったのですが、私は録画を止めてしばらく余韻に浸っていました。

「人って、本当にすごい。」

「セラピーって、本当にすごい。」

そんな当たり前のようで新しい感動が、静かに心に残ったのでした。

次回は、「True Other」について、具体的なエピソードをご紹介できればと思います。

参 考
Diana Fosha, Legacy Interview, MINDinMIND

※本記事で触れているAEDP®に関する内容は、私自身の学びと体験に基づく個人としての発信です。特定の団体や組織の立場を代弁するものではありません。

この記事を書いた人
町田美佳|臨床心理士・公認心理師|マチダ心理臨床オフィス(市ヶ谷・麹町・四ツ谷)

愛着や人間関係、生きづらさ、支援職の悩みなどについて、感情や身体感覚を大切にした心理カウンセリングを対面とオンラインで行っています。

町田美佳(臨床心理士・公認心理師)

臨床心理士・公認心理師。AEDP®Level 3セラピスト。25以上、医療・教育・行政領域で心理支援に従事。CBT、AEDP®を学び、市ヶ谷・麹町・四ツ谷エリアで対面およびオンラインの心理カウンセリングを提供。対人支援職向け体験会「静かな共鳴を味わう時間」主宰。

https://mikamachida.com
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